離職を防ぐ秋の人事戦略|定着率UPの5施策

秋は年度後半に向けて組織の安定化を図る重要な時期です。
特に入社半年〜1年未満の社員は、自身のモチベーションが揺らいでしまったり人間関係の課題から離職を検討しやすくなります。
この記事では、離職を防ぎ、社員が長く活躍できる組織作りのための5つの施策を、人材育成の理論を交えて解説します。すぐ現場での実践ができる具体策をお届けします。
目次
秋は離職リスクが高まる季節
秋特有の心理変化と離職傾向
秋は企業にとって離職リスクが高まる時期です。
新年度から半年が経過し、社員は新しい環境や業務にある程度慣れた一方で、「このままで良いのか」という自己評価や将来への不安が浮上しやすくなる時期です。
また、気温や日照時間の変化によって自律神経が乱れ、精神的な疲労感やモチベーション低下が起きやすくなります。
このタイミングで業務を負担に感じたり人間関係に課題を感じると、転職を検討する動きが一気に加速します。
人事としては、この季節特有の心理変化を理解し、早期の声掛けやフォローを行うことが大切です。
マズローの欲求段階から見る退職の要因
マズローの欲求5段階説で見ると、退職にいたる社員は
「安全欲求」「所属と愛の欲求」「承認欲求」が満たされていないケースが多くみられます。
給与や雇用の安定(安全欲求)が欠ければ生活への不安が募り、チームに受け入れられていない(所属欲求)場合は孤立感が強まってしまい、仕事の成果が正当に認められない(承認欲求)状況では働く意味を失いやすくなります。
秋はこれらの満たされていない欲求が表面に出やすい時期であるため、定期面談や調査で社員の心理状態を把握し、組織的な対応を取ることが求められます。
早期兆候をつかむモニタリング術
定性的アプローチ:1on1面談
離職防止には、まず社員の変化をいち早く察知することが欠かせません。
そのためには、上司や人事による1on1面談が有効です。
月1回程度、業務の進捗確認だけでなく「最近の仕事のやりがい」や「職場で困っていること」といった感情面にも踏み込みます。
重要なのはしっかり聞く姿勢を保ち、相手が本音を話しやすい空気を作ることです。
記録を残して前回との変化を比較すれば、モチベーション低下や人間関係の不調といった早期での兆候を見抜く精度が上がります。
定量的アプローチ:エンゲージメントサーベイの活用
定性的な面談だけでなく、数値で状態を把握することも必要になります。
エンゲージメントサーベイは、社員の会社への愛着や仕事への熱意を数値化し、部署別・年代別の傾向を明らかにします。
特に秋は年度中盤にあたるため、上半期の疲労感や職場満足度の変化が数字に現れやすい時期です。
この調査結果から低スコア項目を特定し、改善施策を即座に打つことで離職予防につながります。面談とサーベイを組み合わせることで、精度の高いモニタリングが実現します。
キャリア支援による定着強化
キャリアアンカー理論を活用した適材適所
キャリアアンカー理論(エドガー・シャイン提唱)は、個人がキャリア選択時に最も重視する価値観や動機を8つのタイプに分類します。
例えば「専門・職能型」の社員は専門知識の深化にやりがいを感じ、「安定・保障型」の社員は長期的な雇用や安定した環境を求めます。
秋の人事施策として、この理論を活用した自己分析セッションを行い、社員が自身のキャリアアンカーを理解する機会を設けることで、適材適所の配置や育成計画がしやすくなります。
社員の“成長実感”を高める研修・異動制度
離職の大きな要因の一つは「成長していない」という本人の感覚です。
社員がキャリアアンカーを理解した上で、適切なスキル研修や新しい業務への挑戦機会を与えることで、成長実感を強めることができます。
例えば、営業職から企画職へのジョブローテーションや、短期集中型のスキルアップ研修などが効果的です。
これにより、社員は自分の強みを活かしながら新しい能力を獲得し、長期的なキャリアビジョンを描けるようになります。結果として、会社への定着意欲が高まります。

社内コミュニケーションの質を高める
部門間連携を促す社内イベント
離職の背景には、日常業務だけでは接点の少ない他部署との疎遠さが影響する場合があります。
特に秋は繁忙期に入る前のタイミングで、部署を越えた交流を促進できるタイミングです。
部門混合のワークショップや社内プレゼン大会を実施すれば、普段関わらないメンバー同士の相互理解が進みます。ポイントは「アットホームであるが目的を持たせる」ことです。
単なる懇親会ではなく、部門横断の課題解決やアイデア提案を通じて、互いの業務や強みを共有し合う場にすることで、コミュニケーションの質が格段に向上します。
ハイブリッドワーク時代の情報共有ルール
在宅勤務やフレックス制度が浸透する中、物理的に顔を合わせる機会が減ることで、社員の孤立感や情報の格差が生まれやすくなります。
これを防ぐには、オンラインとオフラインを組み合わせた情報共有ルールを明確に設けることが不可欠です。
例えば、毎週のオンライン全社会議で全員が同じ情報を受け取れるようにし、SlackやTeamsなどのチャットツールでは議事録や決定事項を必ず残すといったルールです。
こうした仕組みは、社員間の心理的距離を縮め、組織全体の透明性を高めます。
評価制度の透明性と納得感を確保する
公平性を保証するする評価基準の明確化
社員が会社に不満を持つ大きな原因の一つが「評価の不透明さ」です。
秋は中間評価や人事考課が行われる時期でもあるため、このタイミングで評価基準を見直すことは離職防止に直結します。
具体的には、成果指標だけでなくプロセス評価や行動評価も含め、評価シートを全社員に共有します。
さらに、過去の評価事例や昇格基準をオープンにすることで、社員が自分の努力と評価のつながりを明確に理解でき、納得感が高まります。
フィードバック面談で成長機会を提示
評価は単なる結果通知ではなく、成長の方向性を示す機会でもあります。
フィードバック面談では、良かった点を具体的に伝えるだけでなく、次に伸ばすべきスキルや行動を明確に提示します。
また、そのための研修やプロジェクト参加など、実際の成長機会を併せて提案します。
こうすることで、評価は社員にとってモチベーションを高めるきっかけとなり、将来への不安よりも期待感を持たせることができます。
ワークライフバランスの最適化
柔軟な働き方の選択肢を提供
離職理由として多いのが「私生活と仕事の両立の難しさ」です。
秋は年間の中間地点であり、働き方の見直しを行いやすい時期です。フレックスタイム制や在宅勤務日数の選択、短時間勤務制度など、ライフステージや個々の事情に合わせた柔軟な働き方を提案することで、離職リスクを低減できます。
ここで重要なのは制度を整えるだけでなく、実際に利用しやすい雰囲気を社内に浸透させることです。
メンタルヘルスケアの仕組みづくり
働き方の柔軟性と並行して、メンタル面のケア体制も欠かすことができません。
産業医やカウンセラーによる定期相談窓口の設置、セルフケア研修、ストレスチェックの実施など、複数の支援策を組み合わせます。
季節によっては日照時間の減少による気分低下や季節性うつのリスクがあるため、早期の予防が大切です。
社員が安心して相談できる環境を整えることが、結果的に組織の安定にもつながります。
離職防止施策の定着化と改善
定期的な効果測定と見直し
施策は導入して終わりではなく、継続的な効果測定と改善が必要です。
半年ごと、もしくは四半期ごとに、離職率や採用後の定着率、エンゲージメントスコア、面談記録の傾向など複数の指標を用いて総合的に評価します。
この際、単に数字を見るだけでなく、その背景を明らかにすることが必要です。
例えば、特定部署で離職が集中している場合は、その部署固有のマネジメントや業務負荷の問題を精査します。
また、施策が名前だけにいなってないかををチェックするため、対象者へのヒアリングや匿名アンケートも併用します。
改善点が見つかった場合は、試験的に導入し、その結果を踏まえて全社展開するという段階的アプローチを取ることで、失敗リスクを最小限に抑えられます。
社員参加型の改善提案制度
人事部だけで改善を考えるのではなく、現場の社員を積極的に巻き込むことが、施策の定着と質の向上につながります。
社員が自由に意見を出せる匿名の「改善提案ボックス」や、各部署ごとの定期的な意見交換会を設けると、普段の業務では見えない課題や改善アイデアが集まりやすくなります。
また、提案が採用された場合は、その内容と理由を全社に共有し、提案者を表彰する仕組みを設けると、組織全体に「自分たちが職場を変えられる」という主体性が芽生えます。
このプロセスは、単なる制度改善にとどまらず、社員のエンゲージメントを高め、長期的な離職防止に役立ちます。

外部パートナーの活用(もし新入社員研修が必要な場合は)
離職を防ぐための施策は多くありますが、その根幹にあるのは「若手社員が自信を持ち、組織の一員として成長を実感できること」です。
特に新入社員や第二新卒の早期離職は企業にとって大きな課題となります。
だからこそ、入社初期からの研修によって基礎力と主体性を育むことが、長期的な定着率向上のカギを握るのです。
合同会社COBALT BLUEでは、新入社員・若手社員向けの研修に特化し、オンラインでも参加者が主体的に学べるプログラムを提供しています。
単なる知識のインプットではなく、参加者自身が考え、対話し、行動につなげるスタイルだからこそ、「現場で使える力」が確実に身につきます。
もし「早期離職を防ぎ、若手を即戦力に育てたい」と考えている人事の皆さま。
ぜひ私たちにご相談ください。合同会社COBALT BLUEでは、新入社員研修を専門とする講師が在籍しており、オンラインに特化した研修を展開しています。
私は講師としての経験は浅いものの、新入社員一人ひとりに寄り添う姿勢を大切にしながら研修を行ってまいりました。
今まで担当した研修は2~4人の少人数制が中心で、参加者同士が良い点や改善点を伝え合えるような、安心して学べる環境づくりを心がけています。
私自身、前に出て強くリードするのではなく、一人ひとりの意見を尊重しながら、やる気を引き出し、ビジネススキルの向上をサポートするスタイルを大切にしています。
事業所は神奈川県、川崎エリアにありオンラインの新入社員研修に強みを持っております。
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